意地悪なきみの隣。



「ただいま〜」



ローファーを脱ぎ、リビングに入るとお母さんが大きなアルバムを見ていた。



「お母さん、何見てるの?」



気になった私はお母さんの隣に立ち、前かがみになって覗いた。



「ん〜?ちょっと前に郁とやまとくんの話してたでしょう?それで懐かしくてアルバム見てたのよ〜」



そういうお母さんの目の前には私が幼稚園の頃の写真。
そして隣には必ず……やまとくんがいる。


きっと、お母さんは私が中島くんに勉強を教えてもらってるって話をしたことを言ってるのかな。


幼い2人はとても無邪気に笑っていて、楽しさが伝わってくるのと同時に、懐かしくなった。



「やまとくん、ずっと一緒だったな〜」



私も見たくなって部屋着に着替える前に、お母さんの隣のイスに座る。


どんな時も隣にいたやまとくん。


笑う時も泣く時も当たり前のようにやまとくんがいた。


その頃はそんなやまとくんが好きだった。


小さい頃で、気持ちを伝えるなんてなかったけど大好きだった。


だから小学校が違うのはすごい寂しかったなあ。



「あ…これ…」


何ページかめくっていくと、ふと目にとまった。


動物園でキツネを見ている2人の写真。


お母さん、こんなの撮ってたんだぁ。


ベンチに座ってキツネを指差してる後ろ姿は、とても小さい。




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