意地悪なきみの隣。



「わっ…!」



突然目の前が真っ白になった。


私の頭に何かがかぶさってる。

わけがわからないけど、頭にかぶさる物を取る。



「え…体操服?」



広げると少し大きめの体操服。
ちゃんとズボンもあった。



「それでも使えよ」



遠くから聞こえてきたのはいつも意地悪してくる声。

席に座りながらこっちを見る。



「で…でも中島くんの体操服ないじゃん」



私が使ったら中島くんの体操服がなくなっちゃう。

そしたら、中島くんが怒られちゃうよ?


…なんて言葉を聞こうともせず、私に体操服を投げた中島くんは友達とのお喋りを再開した。



「あ……ありがと」



たまに優しくする。


だから余計に中島くんがわからない。


小さく呟くと聞こえていたのか友達とのお喋りの中、私を見てふにゃっと笑った。


いつも意地悪な中島くんがふにゃっとと笑うと、ドキッとする。



あまり見せない少し可愛い笑い方。


友達と笑う時は大きな口を開けて笑うのに、ふとした時にそうやって笑う。




中島くんは、少しずるい。


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