意地悪なきみの隣。
全然わかんない。
「これっ……こんなのズルイよっ…!」
もう、無理だよ。
涙をこらえるなんてできるわけない。
涙をポロポロ流すと、あははって笑いながら私に近づいてくる。
「さすがに帽子は気付くと思ったのに、全然気付かねーの。やっぱバカだよな」
中島くんに向かってつきだした帽子を手に取ると、ツバを後ろにして私にかぶせた。
今度はちゃんと前が見えるように。
「ほんとに……やまとくん…なの?」
そう言うと私のほっぺたをつまんできた。
「いいい、いたひ…」
ずいっと、顔を近づけてきた中島くんはむっと怒った顔。
「見てみろ、やまとくんと同じ顔してんだろ?」
無邪気にくしゃっと笑う。
目を細めて、にかーっと口を大きく開けて。
それは何年も前のやまとくんとそっくりだった。
「うっん……。ちゃんと、ちゃんとやまとくんだ…。やまとくんだよ…」
どうして気付かなかったんだろう。
こんなにも近くにいたのに。
いつも一緒にいてくれたのに。
やっぱり、中島くんの言う通り私はバカなんだ。