意地悪なきみの隣。

プレゼントと忘れ物です。




「おはようっ!大和くん!」



いつものようで、いつもと違う朝。


寒い時期なのに朝練を終えて教室に入ってきた大和くんはじわりと汗をかいていて。


私の声に気付いたきみは、私をちらっと見てそれから笑う。



「おはよう、郁ちゃん」



エナメルバックをかけている肩とは反対の手をあげる。


うん。


ちゃんと、やまとくんだ。
あの頃よりも大人になったやまとくんだ。


ね、大和くん。



「えっ、ちょっと、え?なになに!ようやく?」



私の隣にいる陽菜ちゃんは状況がつかめていない様子で私と大和くんを交互に見る。


そうだった。
陽菜ちゃんにはまだ言ってなかったんだ。



「おかげさんでようやく気づきました。このバカは」



「なっ…!バカって!気付いて欲しかったならはっきり言ったら良かったじゃん!」



そうだよ。


気付かない私はそうとうバカなんだって思うけど、わかってたなら言ってくれても良かったのに!



「まあ、結果オーライじゃん?ほんとこいつさ〜、西野と話してない間大変だったんだからな」



と、高橋くんが笑う。



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