ちょっぴり恋して
私は早く家に帰りたかった。

ズキズキしたり

足の向きによっては痛みを感じなかったりした。

それよりも翻訳の仕事の方を気にした。

今日はもう無理かもしれない。

スケジュールが一日伸びてしまったから

明日から調整しなくてはならない。

「着いた。降りれるか?」

「うっ。」

何とかエレベーターに乗れた。

私の部屋は五階の一番奥だった。

長い通路を歩かなければならなかった。

小野さんに支えてもらい

一歩二歩と足を進めた。

「何号室?」

「一番奥です。」

「俺が運んであげよう。ほら、つかまって!」

「えっ?」

彼は重いバッグを肩に担いでいるのに

軽々と私を抱き上げた。

「す、すみません。」

彼はそのままの状態で私の靴を玄関に置き

部屋の中まで私を運んだ。

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