常磐色の意味。【短編】


私は二年前、中学三年生のころに非現実的な話だが、幕末へタイムスリップをしていた。

当時の私はタイムスリップなんて信じてもいなかったし、そういうものは空想の世界だけのものだと思っていた。

そんな私がタイムスリップをするなんて運命のいたずらは、本当に意地悪なものだったと思う。

剣道をならっていた私は隊士となって新選組へと入隊した。

この二年で、小さい頃から大好きだった剣道をする掌を血で汚すことになるなど誰が予測しただろうか。


それでも、決して悪いことだけではなかった。

幹部のひとたちの苦しい稽古を一緒に耐えた、平隊士のみんな。


とても優しくて、料理上手な六番隊組長の源さんこと井上源三郎組長。

一人で行くのは恥ずかしいとかいって私にいつも甘味処に行くのを付き合わせた腹黒いけれど隊務のときは誰よりも頼りになった一番隊組長、沖田総司。


いつもうるさいけれど、誰よりも情熱的で面白い、二番隊組長、しんぱっつあんこと永倉新八。


背が私よりも小さくて、声が少し高い、少年の雰囲気も少し持ち合わせていた、八番隊組長、藤堂平助。


女好きだけど、何かあると親身に相談に乗ってくれた、兄のような存在だった原田左之助。

鬼と言われていたけれど、実は俳句を詠むことが趣味の可愛い一面もあった土方歳三副長。


優しくて面白くて、尊敬出来る、父のような存在だった、近藤勇局長。


斉藤一。私が所属する三番隊の組長で、クールだけど本当は誰よりも情熱的で新選組を思っていた、私の大切な、大切な人......。


< 3 / 9 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop