常磐色の意味。【短編】
源さんの料理をもっとたくさん食べたかったし、総司に一度は甘味を私に奢らせたかった。
左之さんの腹踊りや、三馬鹿(原田、永倉、藤堂)のコントをもっと見たかった。
そして何より一さんと女の姿をして街を歩きたかった。
やりたかったことや、後悔していることがたくさんある。
伝えたかったことに関しては数え切れないほどだ。
青い空に浮かぶのは彼らの笑顔。
そして、頬に流れるそれは止まることを知らない。
バスのアナウンスと、バス独特のガソリンの匂いでふとわれに帰った。
アナウンスが流れるとともに、ドアが開く。
今日も1日が、あの人に会えない1日が始まる。
そう思いながらバスの乗車口の階段を上った。