常磐色の意味。【短編】
座席に座り、しばらくすると、私はイヤホンをスクールバッグから出し、スマートフォンに繋いだ。隣の人の音漏れがうるさいのだ。
私のイヤホンから女性シンガーの声が流れる。
♪会えなくても 寂しくても
変わらないのは私の心
常磐色な、私の心
歌詞に、再び涙を流しそうになった。
「俺は、たとえ時をこえようとも、お前に会いにいく。」
この時代に戻ってくるときに一さんに言われたこの言葉を信じて毎日を過ごしている。
しかし、本当にそんなことはあるのかと、今になって不安になる。
話したいこと、伝えたいこと、一緒に行きたいところ……。
まだまだある。
なのになぜ? 会いたくても会えないの……。
ただ一緒にいたいと願っただけで、特にわがままなことをいったわけではない。
せめて、一度でいいからもう一度彼に会いたい。
バスが駅のロータリーにつく。バスからおり、駅の構内にはいった。プラットフォームへと急ぐ。途中で急ぎ足のサラリーマンや楽しそうな学生とすれ違った。
駅のホームへいくと、既に友達の優奈と美優はきていた。
「おはよー! 里愛(さとえ)!」
「おはよう! 遅いじゃん! 電車ギリギリだよー」
優奈と美優に挨拶をするとすぐに電車がきた。
学校の最寄駅まではわずか一駅。
所要時間は五分ほど。
他愛のない話をするとすぐに学校の最寄駅に着いた。
最寄駅から学校までは徒歩だ。
駅から出て、通学路を歩く。
途中で後輩や先輩、クラスメートにあって挨拶をした。