俺がアイツに惚れた理由
1
蒼い空、白い雲。
見飽きた町並み。
あーもう、めんどくさくて…、そんな情景さえいいたくも表現もしたくねぇ。
あ。いたいた、
「おはよう、恭ちゃん。」
親しげに話しかけてきたのは近所の叔母さん。
毎日、挨拶してくれるんだが、
なんか…だりぃ。
「……おはようございます。」
と、挨拶してスタスタ歩き出す。
が、いつものように「待って、恭ちゃん。」と呼び止める。
なんなんだよ、しかも「恭ちゃん」とか親しげに。
俺の名前は恭介だっつーの。
「なんスカ?」と、表情で迷惑そうなアピールをした。
「恭ちゃん、学校帰りに家によって来てくれないかしら?」
へ?
「恭ちゃんの家、母子家庭で大変でしょう?お母さんもお疲れだと思うし、今日は私の家で食べない?」
いやいや、本当に親しくないし。
てゆか、なんで母子家庭知ってんの?
「いや、いいです。」
「遠慮しないでいいのよ?うちの娘もきっと喜ぶわ。」
娘?
あー、俺と同級生の…乃愛だっけ?名前。
「いや、本当にいいです。」
「そう言わずに、ね?お母さんのことを…」
「いいってんだろ。」
つい暴言口調で言ってしまった。
まぁこうしなければ諦めないだろう。
「…そう」
しょんなり、とするおばさんに一礼して
「じゃあ、行ってきます。」
と、去った。
「気をつけてね…。」
と、小さい声を背中に感じながら。