さようなら僕の死神
「なんだお前ら知り合いなのか?」

体育教師の担任が聞いた。彼女が答えるより前に僕は答える。


「はい、幼馴染なんです。小学校の頃に彼女は転校してしまいましたけど親ぐるみの仲だったんで。」


僕の小学校の頃の知り合いはこの学校にはいないからこの嘘は貫き通せる。
僕と彼女の共通した嘘だ。あっなんかときめくは。


「ちょっと、何言って・・、」


彼女の残りの言葉、るんですか、は僕が全力で遮る。


「照れないでよ、ふっちゃん。いや二月。」


真面目な顔で僕はふっちゃんの顔を見つめた。全力で目を合わす。


ふっちゃんの顔は、死神の表情は全く変わらない。


ただ僕を睨むだけ。こんな顔で見つめられると僕の一生陰に隠れていなくてはいけないはずのМ心が出てきそうだ。

こんな顔をされていると彼女が死神だということを信じてしまいそうになる。まあ、彼女が嘘をつくはずないんだけど。

まだ出会って一日目の彼女にそんな感情を抱く僕ってすごくあかん奴だねー、なんてそんなことを思った。
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