さようなら僕の死神
僕はこの学校でそれなりに影響力がある人間らしい。誰から言われたわけではなく自覚がある。

自惚れているわけじゃないけどそう思っても仕方がない待遇だ。


休み時間になると男子女子問わずに僕の机の周りに集まる。


僕と話して何が楽しいのかわからない。女子に告白されたり、それを見た男子に茶化されたり、嫉妬されたりは何度もあった。


けれどもそれは全部「だから?」と返した。最悪な奴だと自分でもそう思うよ。
でももしも今僕が死神に告白されたら?考えるだけで赤面して無言になってしまった今がある。

僕から告白する、なんて考えたらもっと無理だ。学校では見せられない僕の顔になってしまう。

でれっでれだ。クールイメージなんて瞬間的に消え去る。


そもそも死神ちゃんが彼女が僕なんかの告白受けてくれるわけないけど。


「週末久々に二人で出かけない?っていうか今日帰れる?二月って部活はいらない系の子だったよね。」


もし彼女が本当に死神だというのなら僕の監視のようなものでこの学校に来たのではないかと考える。それこそ自惚れだが。


でもそれが本当だったら、彼女はきっと帰宅部の僕についてきて、一緒に帰ってくれるだろう。と考えて。


クラス全員、担任含むの前で僕は彼女にデートのお誘いをした。


「うん、そうですねー。」

やっと乗ってくれたその時に彼女の顔に初めて感情が存在した。
感情ではなくきっと表情なのだろうが。

引きつった笑顔のようなそれに僕は思わず笑ってしまったけど

それは


僕をときめかせるのには十分なくらい


かわいかった。
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