空色の鳥へ願う
「ごめんなさい」

　少女は少女に向かって少し笑ってみせました。

「青い空はきれい」

　少女は空を見上げて言いました。

「青い目の私もきれい」

　少女は湖の少女を見て言いました。

「青い鳥は―――」

　きっと見つかる。

　少女は少女にうなづきました。

「もう子供みたいに、ぐずったりしたくない。だから、私の最強の味方になってくれる？」

　少女は少女に微笑みかけました。

　そのときでした。

　強い一陣の風が吹き、小川の流れが乱れて少女はかき消されてしまいました。

　そして。

「―――」

　少女は突然のことに、身体を強張らせました。

　遠くのほうから何かとてつもなく大きな生き物の声が聞こえてきたのです。

　少女はじっと息を殺して気配を探しました。

「―――」

　もう一度、今度はもっと近くから、森の木々を震撼させるほどの甲高い鳴き声が聞こえました。

　少女は立ち上がり、気配がしている空の一点を見つめました。

　もちろん、お兄さんが青い鳥を探しに行った方角の空です。
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