空色の鳥へ願う
「おーいっ」

 少女の心臓が早鐘のようになり続けます。

「お兄ちゃんの声だ!おにーちゃーん!」

 少女の声が森に木霊します。

「おにーちゃーー!」

「おーーいっ」

 お兄さんの声は近くで聞こえているのに、姿は一向に見えません。

 そのときです。

 泣きそうになる少女の頭の上から笑い声が降ってきました。

「上だよ、上!」

 少女は一生懸命目を凝らして空を見つめました。

「お兄ちゃん!」

 何も無いと思っていた空に、大きな鳥の輪郭がぶわっと浮き上がり、その背から太陽のように笑っている少年がひょっこり顔を出していました。

「ただいまっ」

「おにぃ……」

「なに泣いてんだよ。見つけたぞ、青い鳥」

 うん、うん、とうなずくばかりで少女の気持ちは言葉になりません。

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