空色の鳥へ願う
 背中にお兄さんの体温を感じながら、少女は空色の鳥のふわふわの羽にそっと手をのせました。

「あったかい」

 少女は柔らかい毛布に包まっているような気分になりました。

「なぁ、俺がどうやって青い鳥を見つけたか聞きたいだろ?」

 太陽はいつの間にか傾いて、空はきれいな夕焼け色に変わっていきました。

「何から話そうかな。……そうだ、まずは雷の谷を抜けた先の村で、虹の橋のうわさを聞いたところからがいいかな」

 嬉々として話すお兄さんを見ながら、少女は「お兄ちゃんが帰ってきてよかったね」と小川に映っていた少女に心の中で語り掛けました。

 すると少女が柔らかく微笑んだような気がしました。

 それをみて、青い瞳の少女は本当に綺麗だと、少女ははじめて思いました。

 夕日色に染まった鳥は空と一体となって、滑るように飛んでいきます。

「みんな、とまでは言わないけど、心配して、探しに来てくれた人がいるみたいだぞ」

 お兄さんの言葉に、少女は村へと続く道を見下ろしました。

 点々とした人影が森に向かって動いているのが見えました。

 少女はその人影を見て、心に決めました。

 このままお兄ちゃんとどこかに行ってしまおうかとも考えたけれど、たった数人でも自分を心配してくれる人がいるなら、もう少しあの村にいてもいい。

 万人に受け入れられる人間なんていないんだから。

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