空色の鳥へ願う
 私の世界はこれからもまだまだ続いていく。

 嫌なことは乗り越えても次から次にやってくるだろう。

 それでも、きっと私は頑張れる。

 私にはお兄ちゃんと、それに、最強の味方がそばについているんだから。

 少年は少女の眠たそうに細められていく、空色の瞳を見つめました。

 空はその美しさゆえに人を惑わし、空はその大きさゆえに人に畏怖され、空はその光ゆえに人に尊ばれる。

「大いなる空色の鳥よ」

 少年は口ずさむようにこう続けました。

「妹が、そして世界の人々が、生まれてきたことを心から喜べますように。それが、俺のたった一つの願いです」

 空色の鳥は一度、世界に向かって甲高い声で鳴きました。

 少年は少女を愛おしそうに抱きしめました。

 少女は夢心地のまま、お兄さんと青い目をした少女に、心の中でつぶやきました。
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