甘い悪魔が笑うのは

盲ろうとした意識の中で


確かに聞こえた。


なにしてんの,って

入谷くんの声。


その瞬間。

ふわっと体が軽くなる。

ああ…

「入谷くん ありがとー…」

目をつぶったまま 軽く笑う。


入谷くんだ。

そう思ったんだ。


入谷くん,


嫌いなら 優しくしないで。
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