催涙雨は流れない
「ねっ、時期的に織姫と彦星だよね!あたしああゆうラブロマ大好き!」



「梟仔はロマンチストだからなぁ。」


「獺行も負けてないよ。」



「もぅ!あたしは乱華に言ったんだけど?!ねえ、乱華は?」



梟仔は真後ろの乱華に話し掛けたはずが、隣の獺行と右凍に突っ込まれて少しご立腹だ。



「織姫と彦星?私も好きだよ。ラブロマっていうよりは、1年に1回しか会えないところに惹かれるね。」



「だよね!あたしも。」




「はぁ?会えんの年一とかありえねー!?」



「獺行、物語だから。」



「そうよ。物語だからいいんじゃない!現実的じゃないところが!女心が解ってないなぁ~獺行は!」



一人物語と現実がごっちゃになる獺行には、乱華と梟仔の様な複雑な乙女心は理解出来ないようだ。



ただ、そんな乙女心にサラッと理解を示している右凍は、獺行の一歩先をいっているのだろうか。



「いいんじゃない?ちゃんと現実を見てくれてるってことでしょ。」


「そっ!その通り!靄埼良いこと言うじゃん!」



「も~乱華は甘いよ~。甘甘だよ~。」



「ほんと。調子の良い奴だ。」
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