催涙雨は流れない
――ただいまより上映を開始致します。



乱華が獺行のフォローをしたところで、上映開始のアナウンスが流れる。



「お!いよいよだな!」



「獺行、なんか緊張してない?」



「久しぶりだからな。」



滅多に見ない獺行の姿勢を正す姿に、右凍は可笑しくなる。



「ほんと。いつぶりだっけ?」


「う~ん……多分、去年の校外学習以来だと思うよ。梟仔とも右凍ともあれ以来、来たことないし。」



「そっかー。去年かぁ。あの頃が懐かしいな。」



「え~?なんでなんで?」



しみじみ言う右凍に、梟仔は興味を示す。



「いや、大したことはないんだけどさ。そん時は、乱華と付き合えるとか、燻息と友達になるとか思ってなかったからさ。」



「あ~確かにそうかも!」



「右凍、俺入ってないんだけど?」


「あー、お前は悪友だ。」



「ちょ、悪かよ!」



「みんな、始まるよ。」



「おっ!見るか!」



昭明が落ち暗くなったが、周りを含めまだガヤガヤとしている。


しかし、ナレーションと共に映像が映し出された途端、それはピタリと止んだ。
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