催涙雨は流れない
織姫が願うと
1年程前、入学して間もない乱華達1年生は、校外学習でプラネタリウムに来ていた。



「ほら、早く席に着きなさーい!」



纏まりのない生徒達に向かって、もうすぐ始まると担任は声をあげる。



「乱華は、プラネタリウムに来たことある?」


「ううん、ないよ。梟仔は?」


「あたしもない!だから楽しみ!」



大人しい乱華も、明るい性格の梟仔のおかげで2人はすぐに仲良くなった。


梟仔の話を聞きながら、乱華はチラリと3列前の席を見る。



そこは隣のクラスで、右凍が獺行と談笑していた。



「絡桔くん、カッコいいよね~。」


「えっ?」



「勉強出来るし、優しいし、イケメンだし。入学早々告られた、って話だし~」



そう言いながら、梟仔ニンマリと笑う。



「あらら~顔赤いよ?」


「か、からかわないでよ……」



「見付ける度に目で追ってるけど、告らないの?」



「告っ………。わ、私にはそんなこと………見ているだけで十分だよ。私みたいなのに、優しくしてくれたなんて奇跡だし。」



「(卑屈っ!乱華は、十分可愛い部類なんだけどな~)」
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