催涙雨は流れない
清楚な雰囲気と大人しい性格、顔も悪くない。


乱華に対する、梟仔の第一印象はこうだった。



実際男子の間では、結構上位ランクらしい。



しかし、本人が自覚せず受け止め方が卑屈だと、何事も上手くいかないのだろう。


きっとこれまでも。と梟仔は分析してみる。



「こら、静かにしなさーい!」



照明が落とされても上映が始まっても、一向に話し声が止まない生徒に担任は注意する。


が、その声が一番大きいだろ、と屁理屈を言う男子がいたものだから効果があるのかは不明だ。



上映も進み、ナレーションのおかげで学生達の話し声はほとんど無くなって周りのお客はホッとしていた。



しかし、それも束の間。


天の川が映し出され、ナレーションが七夕伝説を説明し始めると、織姫と彦星の見付け合い合戦が始まってしまう。



「織姫見付けた。」


「あぁ~どこだよ?」


「ほら、そこ。」



「おっ、ほんとだ。んで、彦星はどこだ?」


「天の川の反対にいるはずなんだけど………」



織姫はなんとか見付けられた。

しかし、彦星がなかなか見付け出せない。
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