恋のはじまり
課長を見ると寝不足で顔色の悪い私と違って、何とも爽やかな笑顔をこちらに向けている課長と目が合った。
目が合うと更にニコッと微笑む課長。

そんな風に微笑みを向けられると顔がまた赤くなってしまい、課長の顔が見れなくなって俯いた。

ポンっと電子音が鳴り、一緒に乗っていた人達が降り、エレベーターには課長と私の2人きりになった。

「土日はゆっくり休めた?体調は大丈夫?」
「はい。ゆっくり休んで体調も大丈夫です。課長には本当にご迷惑をかけてしまってすみませんでした!」

「もう謝らなくていいから気にしないで。
俺は笹本と眠れて気持ち良かったし。
あ、着いたな。お先にどうぞ。」
「えっ?!課長?!」

課長に促されてエレベーターを降りる。

今、さらっとすごい事を聞いちゃった気が…!
気持ち良かったって言った?

当の課長を見るとまたにっこり微笑んでいる。
またそんな課長の顔を見ると、私の顔は赤くなってしまう。

「笹本はすぐ赤くなるんだな。
可愛いな。」

か、可愛い!?

面と向かって可愛いなんて言われた事なんて無く、一層顔は赤くなり、あまりの衝撃に何か言わなくちゃと思っても言葉が出てこなく口が閉じれなかった。

そして、クスッと笑って課長は会社のドアを開けて先に入って行った。

(一体課長はどうなったんだろう?どうして私にそんな事を言うの?)

金曜日からの2人の距離の変化に戸惑うばかりだ。
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