恋のはじまり
「それより。課長は大丈夫でした？送り狼にならなかったですか？
俺の家も近かったのに課長が強引に連れてっちゃったから心配してたんですよー。ねー、課長。変な事しなかったですか？」

そう言って西山君は課長の方を見た。

「するわけ無いだろう。上司として部下の世話を、するのは当たり前だ。まだまだ入社したばかりの君には任せられないからね。」

「そうですか。じゃあ俺も早く笹本さんを送って行けるようになるために頑張りますね。はははー。」

2人は笑顔で話しているものの漂う空気は何だかピリピリしていた。

(2人に何があったわけ？！)

「それより笹本さん。課長の事はもういいから書類の事で教えて欲しい所があるんでちょっと来て下さーい。」

西山君にぐいっと腕を掴まれて彼のデスクの方へ連れて行かれる。

ちらっと振り返って課長の方を見ると課長もこちらを見ていた。課長の表情はさっきと変わり少し曇っていた。そしてすぐに自分のデスクへと向かった。

(…私、何かしちゃった？)

ほんの少しの事だけど、自分でも分からないが課長の表情の変化が気になった。
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