恋のはじまり
今日の仕事も終わり駅へと向かう。辺りはもう日も暮れ街の灯りがポツポツと灯り出していた。

(課長は確か直帰の予定だったな。もう帰ったのかな…)
歩きながらぼんやり思ったのは課長の事。
(また課長の事。考え過ぎ!、ダメダメ。)

頭から課長の事を追い出そうと頭をブンブン振ると、挙動不審な行動にすれ違ったおじさんに訝しげな目で見られてしまった。
慌てて咳払いを一つして何もなかったようにすまして歩こうとすると、

「笹本?」
「わっ!か、課長!」

後ろから声を掛けてきたのは課長だった。さっきまで考えていた人がいきなり現れて驚いて飛び上がってしまった。
< 15 / 74 >

この作品をシェア

pagetop