恋のはじまり
俯きながら、コーヒーの準備をしていると、ガチャっとドアの開く音がして振り向くと課長がドアを開けて居た。

「笹本、今大丈夫?」
そう聞きながら中に入ってきた課長に、咄嗟に顔を背けたが、泣いていた顔をみられてしまった。

その顔を見た課長は驚いた表情をして一瞬立ち止まった。
ドアが閉まる音が給湯室に響いた。

急いで涙を拭うと、その手を課長に取られた。
掴んだ手から課長の体温が入ってくる。その温度は以前感じた課長を思い出させて酷く私を切ない気持ちにさせる。
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