恋のはじまり

西山君は打たれた頬に片手を当てて酷く冷たい目をして静かにこちらを見た。あまりにいつもの西山君と違う目をしていて驚いた。

「どうして？ですって？そんなの笹本さんを助ける為に決まってるじゃないですか。」
「…私の為？」

フッと皮肉げな笑いをして西山君は続けて言った。
「今日見たでしょ？課長が女性といるのを。恐らく彼女でしょうね、あの、雰囲気なら。それなら笹本さんの入る隙間は無いんだからさっさと早く諦めないと。これ以上想っていたってどうしようもないんだから…。」