恋のはじまり
「…た、確かに課長とは上手くいかないのはわかったけれど、そんないきなり忘れろなんで言われても、できないよ…。

「すぐに忘れるのは無理でも、じゃあ、ゆっくりでもいいから忘れましょう。前向きに気持ちを持って行かなくちゃ。俺は待ってますから、それは忘れないで下さい。告白の返事は後でもいいんで。」

こんな時でも優しい西山君の気遣いが逆に辛かった。

「西山君、優しすぎるよ…。」
「好きな人には優しくするもんだからいいんですよ。いつか振り向いて貰えるようにね。俺が待ってるって事は忘れないで下さいね。」
西山君は小さく微笑んでそう言った。
その笑顔が悲し過ぎて一層胸が締め付けられた。涙が止まらなくなった。
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