あの夏の光の中で、君と出会えたから。【旧・あの花続編】
俺は母さんに「なんでもない!」と返して、百合にメッセージを送る。




『海、行ったことないの?』



『ないよ

写真とかテレビでしか見たことない』




確かに、このあたりには海がない。


かなり遠出をしなければ、自分の目で海を見ることなんかできない。



そういえば、百合の家は母子家庭で、お母さんは昼も夜も働いていると言っていた。


どこかに遊びに行くような暇がないのかもしれない。




『いま、電話していい?』




俺はあることを思いついて、かなりどきどきしながら、そんなメッセージを送った。



すぐに百合から『いいよ』と返信がくる。



………やばい、めっちゃどきどきする。



俺はリビングを出て部屋に戻る。


そして、大きく深呼吸をして、百合の電話番号をタップした。



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