あの夏の光の中で、君と出会えたから。【旧・あの花続編】
「………一緒に、海に行きませんか?」




やけに他人行儀な言い方になってしまった。


だって、ものすごく緊張しているから。




百合が驚いたように『えっ』と声を上げた。


俺はもう一度、




「俺が住んでた街に行ってさ、一緒に海、見ない?」




と繰り返す。


しばらくして百合が『いつ?』と返してきた。



あっさりと受け入れられて、嬉しさに頬が緩んでしまう。




「いつでも………」



『じゃあ………今日とか?』




今日って。


思わず笑そうになった。


そんなに海に行きたいんだ。




「いや、ちょっと遠いから、一日かかっちゃうんだ。

今からだと帰りが夜中になるから、………百合がよければ、明日はどう?」



『うん、いいよ。

何時にどこで待ち合わせ?
駅に9時とかでいい?』




こんなに次々に喋る百合は初めてだ。



そんなに楽しみなんだ、と思うと、すごく微笑ましくて、俺はにやけるのを堪えきれない。




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