あの夏の光の中で、君と出会えたから。【旧・あの花続編】
塾なんて、考えたこともない。



だって、俺は、一日でも多く、一時間でも長く、サッカーをしていたいんだ。


一日ボールに触らないだけでも落ち着かないのに、週に三日も部活を休まなきゃいけなくなるなんて………。



考えただけで、どうにかなりそうだ。




「………俺、進学校とか、行くつもりないし。

だから塾もいらないよ」



「進学校に行かないって、じゃあ、高校出たら就職するの?」



「………うん、ていうか」




俺はごくりと唾を呑み込んだ。



今まで、親にも言ったことはない。


でもーーー百合が笑わずに聞いてくれたから。



今なら言えるかも、と思った。




「………俺、プロになりたいんだ。

プロのサッカー選手に。

高校出たら、頑張ってどこかのチームに入って、いつかは」



「なに言ってるの!」




母さんが唐突に俺の言葉を遮った。





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