天才少年と完璧少年…そして普通少女
「ただいま~…」
「お帰り!!姉さん!!」
家に帰ると、ひとつ違いの弟、紘矢が勢い良く玄関のドアを開けた。
ったく、ドア壊れるだろ。
この前、窓割って散々怒られたばっかだろ。
そんな私の心の愚痴が聞こえない健気な弟は、飛びっきりの笑顔で"あの"悪夢を口ずさむのであった
「姉さん、与永って言う人とお昼一緒食べたって本当!?」
「…違うよ。きっと違う人さ」
「俺さ、正直姉さんには絶っっっ対彼氏出来ないと思ったけど、大間違いだったんだ~!!嬉しいな~」
どこまでも健気な弟は私の虚しい否定を丸無視し、本当に嬉しそうに足を弾ませる。
私と違い、素直で可愛い弟は、舞桜中学校で特別教室と言い、今年始まった制度で、一年生しか出来ないが優秀な生徒しか入れない所に居る。
もちろん、私とは比べ物にならないくらい頭がいい。
「ハハハ…私、もう寝るわ」
フラフラとした足つきで、自分の部屋に向かった。
「…ハァァァァァ………」
今年最大のため息をつきながら。