天才少年と完璧少年…そして普通少女
「林崎…いや、美夜。美夜のメアドと電話番号を教えろ。色々試したい事がある」
「…何を試すんだよ。」
「まぁ色々だ。俺は美夜の事が気に入ったんだ。いいだろ?」
ハァ…とため息をつき、自身のケータイを取り出す。
「はい、コレが私のメアドと電話番号。
時間がない時にメールとかきても、すぐには返せないよ?」
「フッ…強情な奴だ」
お前がな。
少なくとも与永よりはマシだろ。
「あ…昼食…食べてない…」
「あー、美夜の弁当か?玉子焼き、美味かったぞ。自分で作ったのか?」
「いや、母さんが………って、お前食ったな!?」
目の前には、既に空になった弁当箱。
やばい…いや、冗談抜きで…
ただでさえ、ハードな部活で体力も必要。
そのためには昼食は欠かせない。
なのに、弁当箱の中は綺麗さっぱり与永に食べられた。
…もう、死ぬ…
「そんな落ち込むなよ、俺のパンあげるから」
「はじめからそれを食えぇぇぇ!!」
私は仕方なく、与永のパンを奪い取り、むさぼり食った。
「…ハッ、女気の無い奴」
目に涙を溜める与永。
何だ、そんなに面白いか。私の食べているところは。
「…変な気持ちだ。」
ボソッと吐かれた与永の独り言は、私の耳には届かなかった。