天才少年と完璧少年…そして普通少女
「結羽〜、数学のプリントあげる」
「あ、あげるって…出来ないだけでしょ…全く、美夜ときたら…」
参ったように手をあげる結羽。
やっぱり、持つべきものは天才幼馴染みだよね!
「えー、何?美夜って数学苦手なの」
「うげぇっ、与永」
私のプリントを高く持ち上げ、私が取れないようにする与永。
見た目だけなら、ここらの女の子の心を鷲掴みできるという美貌を持ち合わせているというのに、こんなイジワルな性格を知ったら、驚愕される…
「いいなぁ、与永君にいじられてる〜」
「私は矢坂君と一緒にお勉強したいわ〜」
…何なんだ、この中学校は。
いじられて羨ましいと…
1回いじられてみろ、2度とそんな事言えなくなるぞ。
「数学、俺得意だから教えてやるよ。」
「は?」
「いや、だから教えてやるって言ってんの…」
与永が私に?
「嫌とは言わせないよ」
クイッと、顎を捕まれ、与永の顔がかなり近かった。
「何やってくれてんの?与永」
後ろから、結羽が優しく手を引っ張ってくれて、与永から離れる事が出来た。
「俺の勝手じゃん、邪魔しないでよね?結羽」
…何か、怖いぞ。
優しく微笑む結羽の視線と、挑発的な表情で笑う与永の視線の間に、わずかに火花が見えた気がする。