天才少年と完璧少年…そして普通少女
そして放課後。

「立華~部活行こう!」

「今日の練習って何だっけ」

「ふ、ふ、ふー!パート練だよーん!!」

「よっしゃ!!その言葉を待ってたぜ!!」

舞桜中学校吹奏楽部。
聞かずと知れた超強豪校。
部員数は90名を越え、楽器庫が二つ必要な程の人数。
そんな舞桜中学校吹奏楽部の顧問も世界レベルの指揮者だ。
その為、合奏と言う全体で合わせる練習は、3年生の先輩も泣くほど怖いものだ。
申し遅れたが、私達2年生は今年から後輩ができ、この学校は主に2年生が1年生に色々教える体制のため、かなり大変な年なのだ。
だから、パート練の時は自分の事がいつもより沢山できるから皆喜ぶ。

「早く楽器出すぞ!!」

「おう!!」

私と立華は、サックスを担当している。
私がサックスを選んだ理由は一目惚れ。
単純にカッコイイと思ったから。
立華のサックスは、私より一回り大きいテナーサックスと言うサックスだ。
ちなみに私はアルトサックス。
サックスの中では定番かな

「こんにちは!!」

後輩の大きい挨拶に、少し頬が緩む。

「こんにちは」

この部活の時は、与永はいない。
その点では、ちょっと安心している。
だけど…

「ハァ…今だにカッコイイ音が出ない…」

技術的な面でも、普通が遺伝しちゃっている。

「いつか上手くなるよ~」

とか言いつつ、立華はプロ並みに上手い。
後輩にもちゃんと的確に教えていて、すごいなぁと思う。
それに引き換えて私は、後輩に教えても頭が「?」になる様な教え方しか出来ない。
しかも、実力も普通のため、ずば抜けて上手い立華の方に皆行ってしまう。
月のすっぽんの差…
私達2人にピッタリな言葉だと思う。
吹奏楽は才能だけが全てじゃないと、誰かさんが言っていたが、そんなのは綺麗事。
才能がある人はすぐに綺麗な音が出て、普通の人は普通の音しか出ない。
そんなものなのだ。
だが、サックスは好き。大好き。
だから続けられるのだろう。


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