いけてない私の育てかた
「おーい、サッカー部いるかぁー?」

教室の入り口から誰かが叫んでる。

「はい、 えっ? こんにちは先輩。」

「おー、悪い悪い昼休みに。

悪いついでに早乙女さん呼んでくれる?」

そう言われた彼は物凄い顔で先輩を見たんだと思う。

「なにお前そんな顔して。

いいからほらっ、さっさと呼んでくる。」


「は、はい。」


なんだあの後輩、震えてないか?


「さ、早乙女……さん。」


急に呼ばれたので声のするほうを振り替えると、ひー!とかいいながら、

「あっちで先輩が呼んでるから。」

そう言ってすぐ私から離れていってしまった。


先輩? 誰だろう?

って言うか私に用事?

まったく心当たりのない私に楓が、

「あー、今朝の。」

指で教室の入り口を指す。

私は指された先を目でおうとそこには今朝私がぶつかった(確か譲先輩)人がいた。

ヤバいまさか、今ごろぶつかった所が痛くなって慰謝料寄越せとか言われるんじゃないでしょうね。


「どうしよう楓。

私今お金持ってないよ。」


「はぁー、何言ってんの。

ほらっ、呼ばれてるんだから行っておいで。」

仕方なく重い足取りで下を向きながら教室の入り口に向かう。
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