いけてない私の育てかた
午後の授業は殆ど記憶にない。楓に一度教科書が違うと怒られてもボーとしている私を押し退けて引き出しから違う教科書を出してくれたのはなんとなく覚えている。


放課後になり憂鬱な気持ちで待っていると何故か他の人達も帰らずにいるではないか。

帰ろうとする楓に私は、

「なんで皆帰らないんだろう?

今日って放課後残って何かやることあったっけ?」


基本真面目な私はクラスで残ってやる仕事がある時は率先してやる子だ。だからもし何か見落としていてやることがあるのなら先輩の事は後日に回してもらわなくてはいけないと考えていた。


「皆ほのかと約束した相手を見たくて待ってるんだよ。」


「何で先輩を見たいの?」


「そりゃーあんなイケメンがこのクラスにくるんだから皆見たいに決まってるじゃない。」


「あー、そう言うことね。」

皆はいいよね。私だってもし今朝の事がなければあんな格好いい先輩を近くで見れるなんてラッキーくらいに思えるんだろうけど。
考えただけでため息がでる。


「まっ、頑張って。

明日報告してよね。」


他人事だと思って。絶対あの顔は楽しんでる。


楓が教室を出たのと入れ違いにその人はやってきた。
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