いけてない私の育てかた
「学級委員点呼とれー。」

今日から2泊3日のオリエンテーションが始まる。

思い起こせば、中学校の修学旅行私には友達がなく余り者として班に混ぜてもらっていた。

でも今回は違う!

最初は席替えで決められた班だったけど、今は友達と同じ班なんだ。

だから今までみたいに当日の朝熱を測ったりちょっとお腹の痛い振りをしなくてよかった。

なんて素晴らしくてなんて清々しい朝なんだ。

あーきっとオリエンテーション先も素敵な朝を迎えてるんだろうな。


「ほら、ほのかぼーとしてないでバスに乗るよ。」

「うん。私お菓子いっぱい持ってきたから楓、後で一緒に食べようね。」

私ったら張り切りすぎて家族が呆れる位沢山お菓子を持ってきちゃった。


「あー、はいはい。

あたし持ってこなくて良かったわ。なんかそんな予感してたんだよね。」


「なに、なに?

何を持ってきたって?」


朝から爽やかオーラ全開の佐藤くんが話しかけてきた。

「へっ、えっ、あのですね。

……。」

ダメだ爽やかすぎてクラクラする。

「ほのかがお菓子いっぱい持ってきたから後で食べようって話してたんだ。

良ければ佐藤くんも一緒に食べる?」

な、何を言い出すのかと思えば。そんな私が持ってきたお菓子なんて恐れ多くてあげられないよ。その前に佐藤くんだって受け取らないって。


「ほんと!

ラッキー、俺お菓子持ってこなかったから早乙女さんのもらってもいい?」

そんな顔でおねだりされたら断れませんよ。

「は、はい。いくらでも。」

「サンキュー。早乙女さん。」

今すぐにでもあげたい衝動を押さえて席に座る。

今からこんなんで私の心臓もつのかなぁー?
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