いけてない私の育てかた
そんな暗い中学生活を終え私はこの春高校生になった。

高校生になったと言っても相変わらずくろぶちメガネに長い前髪だけど。

この姿のおかげか今のところ誰からも何も言われない。

入学式を終え教室に入るともういくつかのグループが出来ていた。

新しい制服に中学ほど厳しくない校則についこの間まで本当に中学生だったの?と聞きたくなるような子が何人もいた。

私はなるべく気付かれないようにそんな彼女達を見ていた。

髪を茶髪に染めてる子やそれパーマでしょ!と突っ込みたくなる毛先がクルッとなってる子。

私は1人で雑誌を読んでる子に目がいった。


茶髪に毛先ウェーブに化粧まで!

見てはいけないと思いつつどうしても目が離せない。

眉毛は髪の毛と同じ色で塗られ黒いマスカラでまつ毛のボリュームアップして、黒いアイラインもバッチリ。ケバいはずなのにピンクを薄くつけたチークとピンクのグロスがケバさをカバーしててナチュラルに見えるから不思議だ。

私の視線を感じるたその子は見ていた雑誌から私へと視線を移す。


(ヤバい!)

素早く視線を反らす私。

流石に何年も自分やってたら視線を反らすのも上手くなるってもんよ。

下を向いていた私にも教室が騒ぎ出したのがわかったので恐る恐る上を見ると教室の入り口辺りが特に騒がしい。

「うっそー、何あのイケメン。」


女子の黄色い声に混じり


「おー!また同じクラスだな。

ゆーやん。」


ん?


ゆーやん?

私はカバンの中から一冊の本を取り出してそれで顔を隠しながら入り口を見た。するとそこにはまぎれもなく佐藤くんがいた。

中学時代は同じクラスになることもなく視線に入らないようにしていたので彼の姿をこんなに近くで見たのは久しぶりだった。

彼はすっかり男らしくなり私と同じ位だった背もいつの間にか170㎝ほどになっていた。
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