いけてない私の育てかた
次の週学校で楓とこの前とったプリクラをわけるためにハサミで切っていたらそのうちの1枚が風に飛んで床に落ちてしまった。

私が拾おうとしたらスッと誰が拾ってくれた。


「ありがとうございます。」


お礼を言うと聞こえてきたのは、

「敬語禁止でしょ。」


へっ?


顔を上げるとそこには佐藤くんがいた。


「あっ、ごめん。誰だか分からなくて。

うん。ありがとう。」


プリクラを受け取ろうとすると佐藤くんはそのプリクラを離そうとしない。まるでプリクラを取り合う二人になってるよ。


「佐藤くん?」


「はっ、ごめんごめん。」

変な顔をしながら慌てて離してくれる佐藤くん。

私何かしたのかな?今までの私ならきっとここで謝ってたと思う。でも変わろうと決めた私は、

「どうしたの?私何かしたかな?」

この一言は私にとっては凄い勇気のいることだから自然と顔が赤くなってしまう。

「いや、あの、その。」

私佐藤くんのこと余計に困らせてる?

自分勝手な勇気のせいで佐藤くんを困らせてしまった。

じわじわと涙が溢れてきそうになる。

ダメ!ここで泣いたら余計に佐藤くんを困らせるじゃない。

「ちょっとトイレ!」

そう言って走って教室をでてしまった。

うわー、私ったらいくら佐藤くんを困らせたくないからって好きな人の前でトイレだなんて恥ずかしい。

階段の所まで来て走るのを止めて廊下の壁にもたれ掛かりため息をつくと、


「あれー、ほのかちゃん。こんな所でどうしたの?」

聞き覚えのある声に顔を上げると目の前に譲さんの顔が。

きゃーー!

「ご、ごめんなさい。私まさか譲さんがそんな近くにいたなんて知らなくて。」


恥ずかしくて手で口を隠すと

チュッ


譲さんが私の手の甲にキスをした。

「惜しかったな。あとちょっとだったのに。」

えっーーー!

今のはいったいどういう事?

訳がわからない。

弾みでじゃないよね?

「ほのかちゃんが悪いんだからね。そんな瞳でじっと見られたら思わずキスしたくなるって前にも言ったろ。」

今度はさっきキスをした私の手の甲に人差し指を当てる。

逃げたくても後ろは壁で逃げようがない。

「さっ、ほのかちゃん。手どけよっか。」

私の手を掴もうと譲さんが手を伸ばしてきたその次の瞬間私の腕が横に引っ張られそのまま何かにぶつかった。

急に引っ張られバランスを崩し危なく倒れそうになる私をふわっ。今度はウエストを抱えられてそのまま何かに包まれた。

「早乙女さん大丈夫?」

私を包んでる何かは何かではなく……

佐藤くんだ!

うわっ、えっ?今ってどういう状態?


私佐藤くんに後ろから抱き締められてません?


「なんだよ、祐也俺は今ほのかちゃんといいところだったのに、邪魔すんなよ。」

「悪いけど、先輩。俺の方が先に彼女に用事があるんで。

それに彼女嫌がってましたよ。いいんですか、サッカー部の時期キャプテンが騒ぎ起こして。」

周りを見ると生徒が集まってきていた。


ばつの悪そうな顔をしながら譲さんは、

「ほのかちゃん、でもマジなんかあったんじゃないの?俺で良ければ相談のるからさ。」

そう言いながら「じゃあまたね。」って手を上げて行ってしまった。


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