いけてない私の育てかた
まさか私の名前を呼ぶ人がいるなんて、予想外の事に思わずその人を見てしまった。するとそこには、佐藤くんがいた。

「ご、ごめんなさい。」

見てしまったことに慌てて謝る私に佐藤くんは、

「なんで謝るの?

早乙女さん何もしてないのに。」

くしゃっと笑う佐藤くん。

あっ、えくぼ。


はっ、ダメダメ見ちゃ。失礼だよ。

「よろしくお願いします。

あっ、あのー席もし迷惑なようなら交換しませんか?」

下を向いたまま話す私に佐藤くんは、

「迷惑?

なんで迷惑なの?」


それを私に説明させますか。1番説明したくない相手に言わなきゃならないなんて……。


「それは、窓際で1番後ろで私が隣で逃げ場がないじゃないですか。」

情けないやら恥ずかしいやらで出来ればこの場から消えて無くなりたかった。

でも佐藤くんはそんな私の勇気を振り絞った言葉に理解出来ないとでも言うように。

「よく分かんないけどおれ窓際の1番後ろなんてラッキーな席変わる気ないよ。」

そうじゃなくて、私の言い方がハッキリしないからいけないんだ。

「そうじゃなくてですね、確かにその席はいい席だと思うんですよ。」


何いってんだろ私。

「でも、」

私が止めの言葉を言おうとしたら、

「あのさー、佐藤くんだっけ?

彼女にそこから先言わせるつもり?

最低だね。」


へっ?


驚いて見るとそこにはあの綺麗なメイクをした彼女がいた。しかも私の席の前に座り始めたではないか。


「あー、私、呉 楓ね。」

「あっ、早乙女 ほのかです。

よろしくお願いします。」

彼女いや呉さんは私をかばってくれた。

でもそんなはず、そっかまだ彼女とは目合わせてないもんね。

妙に納得してると佐藤くんが、

「俺何か悪いことしたみたいだな。

ごめん。」


な、なんで佐藤くんが謝るの!?

私がパニックに陥ってると、

「でも、オリエンテーションも一緒だし仲良くやろうな。」

太陽の光が彼に反射して、キラキラした光の中で笑う彼。

佐藤くんて天使かなにかですかね?
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