いけてない私の育てかた
私の日課だった呉さんを盗み見ることが真ん前の席になってしまってできなくなってしまったことに軽く落ち込んでると、隣の席でお昼を食べてるグループの子達が何やらヒソヒソ話している。


「ねぇねぇ、佐藤くんの隣の子ってなにあれ。ダッサー。」

「あー、早乙女さんでしょ。

私同中だったんだけど、彼女メデューサって呼ばれてたんだよ。」


「なにそれ、何で？」


「今はあーやってメガネと前髪で顔を隠してるけど、彼女の目ってすんごい怖くて目を合わせたらマジでビビっちゃうの。」

「あー、だからメデューサね。

目が合うと石になっちゃうってやつ。」


ケラケラケラ

聞こえてますけど、いや違うかわざとだね。私が佐藤くんの隣にいるせいで佐藤くんに近づけないからだよね。

でもできればあのあだ名は言って欲しくなかった。また高校生生活も中学の時と一緒なのかな？あんな言葉言われる位なら自分の存在をなるべく消して誰とも関わらないほうがましだ。

すると今度は話しが呉さんの事に及ぶ。

「メデューサの前の席の子知ってる？」


「あー、呉とか言う子でしょ。

何あれ、いっつも化粧しちゃって自分どんだ勘違いしてんのって感じじゃない。

それになんかケバくない？」

「だよねー、何処にご出勤ですか？って感じ。」

ひ、酷い。私は言われても仕方のない顔だけど、呉さんは毎日かかさずメイクしてしかもそれがとっても似合っててそれをあんな風に言うなんて。

気がついたら私は彼女達の前に立っていた。


「ひ、酷いと思います。

呉さんはちっともケバくないじゃないですか。むしろ化粧うますぎって感じだし。
それにもし呉さんが化粧をしなくても十分綺麗な顔してると思います。

そんな風にしか言えないあなた達のほうごよっぽど醜いと思います。」
< 7 / 66 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop