胸痛共有-キョウツウキョウユウ-
驚愕
生まれてきてから毎日見てきた空
幼稚園に入り毎日見てきた友達の笑顔
小学校に入り毎日見てきた小林さんの犬
中学校に入り毎日見てきた田中さんの猫

高校生になり、両親が他界し私は一人ぼっちになった。
毎日見てきた空、友達の笑顔、犬と猫がまるで違うように見えた。
まるで世界が変わったように、今まで度のあわない眼鏡をかけていたように。

でも、時はゆっくりと進んでいた。
両親が残してくれていたお金で私はひとり暮らしを始めた。
そして、今日初めて学校に行く日。
朝起きてご飯を食べ、洗面台に向かった
いつものように顔を洗った。するといつもと感触が全然違う。
ごつごつとした指、しっかりのした頬の広角。
思わず鏡を見た

すると見たことのない顔が映しだされていた
「誰…?!」と声を発するがその声すらも知らない男の人のものだった。
体をぺたぺたと触る。

女物の服を着た普通の高校生の男性だった。
なんでなんで!?するとジリジリッとアラームがなる。
大変だ!!こんな時間…高校生初めての登校日行かない訳には…っ。
と思いタンスからまだ若かったお父さんの服を漁る。
幸い、お父さんは私と同じ高校出身。
制服も何もかもが変わっていない。
ブレザーとズボンだけは残っていたがブラウスは残っていなかった。
だから、大切にとってあった赤いTシャツを着てその上から学ランを羽織った。
少しチャラい格好になってしまったが今は仕方ない、遅れて目立つよりは今はなんとか凌ぐしかない。きっとこれは夢だ。
と強く願い私は人生初めて男性の格好をして太陽の下へと出るのであった。
< 1 / 2 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop