お菓子な男の子
スキップしている女の子の肩をつかんだ。


「リンゴっ!やっと追いついた……」
「アンちゃん!あ、ごめん。クレープのことしか考えてなかった…あっ!かばん忘れた!」
「持ってきてあげたよ。はい」
「ありがとー‼クレープ2個おごる!……でもアンちゃんのかばんは?」
「え、あ゛っ……」


リンゴのをつかんで、自分のは教室だ!


「はい、杏奈ちゃんのかばん」
「ま、真島くん!」
「杏奈ちゃんも同じだね」
「ごめん……ありがとう」


気づかないうちに私たちに追いついていた真島くんは、私のかばんを持ってニコッと笑っていた。
うぅ…恥ずかしい……


「気を取り直してクレープ食べよーっ‼」


リンゴが持ち前の笑顔で叫んだ。
またスキップをする勢いのリンゴの腕をつかみ、私たちは駅に向かった。


駅前のクレープ屋は行列ができていた。
他の学校もテスト期間が同じだったのか、お昼前という時間なのにたくさんの制服がそろっていた。最後尾に並んだのに、すぐに後ろに列が続く。儲かってるな、クレープ屋……


「まだまだだねー。お腹すいたし、暇っ!」
「リンゴったら……」


いつもみたいに話していれば、そのうち順番はくるだろう。


テストも一段落したことだし、このあとの最大イベントといえば夏休みだ。
私たちには流星群ツアーもあるし!いつ行くんだろう?


「あのさ……」
「それならこの間のLINEの続きなんてどう?林檎ちゃん」
「私たちの出会いのやつ?うん!しよしよ!」
「え…」


教室ではなんとなくはぐらかされたような話を真島くんからぶり返すなんて……特に聞かせたくない話でもないみたい。
なんか気持ち削がれちゃった。私の感じてた疑問はただの好奇心だったんだ。
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