お菓子な男の子
真島くんはリンゴと少し話して帰っていった。リンゴはテトテトこっちに走ってきて席に座った。
受け取ったのだろうプリン・ア・ラ・モードのクレープを手に持っている。


「亮輔くん、用事あったんだね。せっかく並んだのに、クレープ食べる時間なくなっちゃったんだって。ざ~んねん!また今度誘お?」
「……そうだね」


私には真島くんがわざと帰ったようにしか思えない。私に隠している何かをこれ以上知られないために。
あの目……本当の真島くんって……


「アンちゃん。アンちゃん!」
「………」
「アンちゃんってば!聞いてる!?」
「えっ……あ、ごめんリンゴ。どうしたの?」
「だからぁトイレがね、すっごい混んでて、暇だなぁって周り見たらほかの行列あって、たこ焼き屋さんがあったの!甘いの食べたらしょっぱいの食べたくなるでしょ?だからクレープ食べながら並ぼっ‼たこ焼きも食べたい‼」


リンゴはいつもの調子だ。まだクレープも食べ終わってないのに次の食べ物の話。
でもそんなリンゴの性格に救われることも多いんだよな。


「たこ焼きいいね!行こっか。どこ?」
「あっちだよ!いっぱい並んでたから早く行こ!」
「でもたこ焼き屋さんなんて今までなかったよね」
「なんかね、移動してきたみたいだったよ?先週まで別の……」


リンゴと話していると難しいことを考えなくていいし、楽しいし、気持ちが楽になれる。
ときどき空気読めなくてうるさいのが“たまにきず”だけど……ね。
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