お菓子な男の子
テストも終わって何日かたって、また日常の学校生活に戻っていた。学校行って、授業受けて、リンゴと放課後遊んで、家に帰る。その繰り返し。夏休みまであと何日だろうと数えてしまうあたり、私もまだ子どもかなぁなんて思う日々。


「リンゴおはよ」
「……おはよ、アンちゃん」


リンゴが暗いのは、昨日返ってきた化学と英語の点数が悪く、今日から放課後補習に決まったから。これで全教科のテストが返ってきたけど、私もリンゴも赤点はなかった。


「赤点じゃないのにぃ~!なんで補習?なんでぇ……」
「だってギリギリでしょ?化学なんてあと2点だったじゃん」
「2点でも赤点より上だも~ん。赤点じゃないも~ん」
「はいはい。期末考査も近いんだから補習でしっかり勉強して……」


あれ?今私なんて……


「アンちゃん?どうしたの?」
「期末考査‼夏休み前にテストあるの忘れてたーっ‼」
「珍しいね。アンちゃんがそんなこと忘れちゃうの」
「すっかり浮かれてた……頭ん中、流星群のことばっかりで……」
「アンちゃんらしー」
「え?」


私、そんな人だったっけ……いや、そんな人だった!好きなもののことになると興奮しちゃって……
“杏奈ちゃんも同じだね”って言った真島くんの言葉を思い返す。私とリンゴってもしかして性格似てる……?


「あっ、メールだ」


私とリンゴの携帯が同時に震えた。ってことは千夜先輩かな。
メールを確認するリンゴ。私に画面をみせてくれた。


「今日の放課後、部活だって。返信しとくね。私は補習です、アンちゃんは絶対行きますっと」
「行くけど“絶対”は外して」


活動内容はだいたい予想できる。夏休みのことだ!
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