お菓子な男の子
「なんで!?なにかあったの!?今まで一度も帰省なんて……」
「いや、そういうわけじゃねぇよ。俺もちょくちょく兄ちゃんと連絡とるんだけどさ、いっつも杏奈のこと聞いてくるんだよ。しつこいくらいな」


……知らなかった。てか斗哉くん、私に電話番号もアドレスも教えてくれなかったのに!理由聞いても内緒って……だから“二度と悲しませない”とかかっこいいこと言っといて、本当は私に興味ないんだと思ってた。


「あんまりしつけぇから、だったら自分で見にこいよ、つったら帰るって……。だから杏奈、お前に会いに兄ちゃん帰ってくるんだよ」
「いつまでこっちにいるの?斗哉くん」
「なんかあっちでも忙しいみたいで12日には帰る」


ってことは……斗哉くんと会えるのって9日だけだ!そんな……久しぶりの再会なのに!


「おい杏奈。話聞いてるか?」
「久しぶりに会えるのに……」
「だからさ、考えた。俺、兄ちゃんにゆずってやるから」
「……え?なにを?」
「今回のツアーだかの宿泊券。そうすりゃ兄ちゃんといれる時間できんだろ。兄ちゃんいれば俺が行かなくてもまだ安心できるしな」


つまり、斗真の代わりに斗哉くんが行くってことだよね……


「兄ちゃんのほうが星に興味あるし、俺行くより争いは減るだろうし、お前もそのほうが楽しいだろ?」


確かに真島くんや千夜先輩とのもめごとを心配しなくてもよくなる。
斗哉くんは大人だし、星のことだっていっぱい話せる。
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