お菓子な男の子
でも……


「だめ。今回はちゃんと斗真が来て」
「………は?だって、お前は……」
「それは斗真が頑張ってもらったものでしょ。だから斗哉くんにゆずらなくていいよ」


斗哉くんともゆっくり一緒にいたいし、話もしたい。でもこれとは別。
もう一生会えないわけじゃないんだし、9日だってあるんだから。


それに……
私はパジャマのポケットから1枚の紙を出した。この間、斗哉くんのノートから見つけたものだ。


「それにさ斗真。“杏奈は俺が守る 兄ちゃんには負けない”じゃなかったの?」
「なんの話だよ」
「覚えてないの?」
「覚えてるもなにも、俺がいつそんなこと言ったんだよ」


え、ほんとに覚えてないの?まぁ小さい頃の話っぽいし、無理ないか。
てか私も何言ってんだろう。今そんなこと斗真に言われたって気色悪いだけだし!


私は斗真を恋愛的に好きじゃないし、斗真だって私を好きじゃないんだから。


「あーなんかの勘違いだったから気にしないで!とにかく10日から2泊3日ね!スケジュール大丈夫なんでしょ?変な予定いれないでよ?じゃあ、また明日ね!」
「おい、あん……」


言うだけ言って、私は電話を切った。
斗真が最後になにか言いかけてた気もするけど、いっか。用があったらかけ直してくるか、明日もあるし。


斗哉くん……帰ってくるタイミング悪いよ。でもこの流星群ツアーはどうしてもいつものメンバーで行きたい。
絶対喧嘩するし、疲れる。でも私は、それがどこかで楽しくなってるみたいだから。
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