お菓子な男の子
次の朝、斗真はいつも通り家の前で待っていた。


「日にちも決まっていよいよ楽しみだねー」
「俺にとってはゆううつだ」
「みんなと仲良くすればいいのに。真島くんなんて幼稚園から一緒でしょ」
「……だから一番できないんだ」
「ん?どういう意味?」
「うるせぇ」
「なによ!」


朝から感じ悪いなぁー!そういえば昔っから斗真と真島くんはいがみ合ってるような……お互いそうとう嫌いなのかな?2人に何があったんだろう。


いつもと同じ混み混みの電車に乗り、いつの間にか隣にいた真島くんも交えて、学校の最寄り駅に着く。そこから学校に向かって歩いていると、珍しくリンゴの後ろ姿が見えた。


「リンゴだ!斗真、真島くん、私先に行くね。リンゴ~っ‼おっはよ」
「あ、おい待て!真島と2人にっ……」
「アンちゃん!おはよー」
「昨日の補習どうだった?」
「疲れちゃったよ~!部活はどうだった?」
「あ、行く日にち決まったんだけどさ……」


いつも遅刻ギリギリのリンゴと登校することはめったにない。千年に一度もんだ。


「お盆……かぁ」
「リンゴ、予定入ってるの?」
「その時期って混むんじゃないかなぁって。ペンションって大丈夫なの?」
「確かに」


そんなことで考えてなかった。かばんにしまってあった宿泊券を見る。よく見るとけっこうおしゃれなペンション。人気も高そう。


「大丈夫だ。もう予約は取れた」
「うわぁっ‼く、久喜会長……」


振り向くと久喜会長が“やぁ”と手をあげている。急に後ろから声をかけられると……てかいつからそこで話を聞いていたの?


さらに後ろには千夜先輩に絡まれる(絡んでる?)斗真と真島くん、その千夜先輩にまとわりつく花梨ちゃんの姿。
久喜会長につられて、私も微笑んでしまった。
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