お菓子な男の子
天文部合宿流星群観察ツアーのしおりを配られた日が夏休み前最後の部活だった。
スポーツ大会、前期期末考査という、いかにも高校生らしいイベントを終え、ご褒美のように、私たちは夏休みをもらった。


7月下旬から始まった夏休みはもう半分ほど過ぎ、私は自分の課題に追われることなく、お盆を迎えようとしていた。


「アンちゃん、ここの問題なんだけど」
「教科書のここ見て。この公式使えば解けるから」
「うぅ……見てもわかんない!」
「だから、ここにこれを当てはめて……ちょっとペン貸して」
「もうアンちゃんに任せた!私は古文やるね」
「ちょっと!リンゴの課題でしょ!?」


例のごとく、リンゴの課題の手伝いには追われています……
これは仲良くなった小学生の頃からの恒例行事。学校が違っても、リンゴの家に集まって一緒にやるのが始まりだったのに、今ではリンゴの課題の消化がメインになっている。


「こんなんじゃ、天文部の合宿楽しめないよ?」
「だって~!高校の勉強難しいんだも~ん!多いんだも~ん!」
「“もん”じゃない!」
「アンちゃんの鬼」
「早くやって」


去年もこんな感じだった。リンゴって学習も成長もしないなぁ。


「ちょっと休憩!」
「だめだって!合宿明後日からでしょ!最低でもここまで終わらせなきゃリンゴは間に合わないから!」
「明日もあるよぉ。またアンちゃん来てくれるでしょ?」
「明日は無理。来ない」
「え~っ‼なんで~っ!?」
「毎日来られるかっ!リンゴは私に頼りすぎ!」


明日は私も予定がある。そう、明日は9日。斗哉くんが帰ってくる日だ!
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