お菓子な男の子
リンゴの家から駅まで歩いて5分。駅の構内を歩いて反対側に。そこから30分くらい歩けば私の家に着く。
駅の中に入ると日射しが遮断されて少し涼しい。


駅から出たくないなぁ……。30分も歩きたくないよ……。


「杏奈‼」


やっぱり泊まらないで夜のうちに帰ればよかったかな。暗いけど少しは涼しかったよね……。


「杏奈!こっちだって!」


でもそしたら心配してくれんのかな、斗真は……ってなに考えてんだろ。
それよりもさっきから、呼ばれてるような……?


「杏奈!久しぶりで声も忘れちゃった?」
「っ‼と、斗哉くんっ!?」


肩を軽く叩かれ振り向くと、大きなスーツケースを引く人が……3年ぶりの斗哉くんだ‼


「斗哉くん!ほんとに斗哉くんだ!大学生活はどう!?あ、斗真と連絡取ってんなら私にも連絡先教えてよ!あっ、ねね、彼女とかできた!?そういえばね、天文部で明日から合宿でっ……」
「杏奈、落ち着いて!元気なのは安心したけど、ちょっと深呼吸して?」


言われた通りに息を吸って吐く。言いたいことがいっぱいあったことに気づく。
落ち着いた私の頭を、斗哉くんはポンポンとなでてくれた。嬉しい……けど………


「もう。私は子どもじゃないんだけど」
「ごめんごめん。もう高校生になったんだもんな。背も伸びた気がする」
「斗哉くんもさらにかっこよくなった気がする!」
「気がする、じゃないだろ?本当になったんだ」
「あはははっ!」


むくれ顔をする斗哉くんに安心した。変わってなくてよかった。
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