お菓子な男の子
好き……突然のその言葉が頭に流れ込んでくる。斗哉くん、私は……


「斗哉くんといるとね、私は私でいられる。気を張らなくていいし、安心できる。一緒にいて楽しいし、斗哉くんが笑ってくれると嬉しい。今日もさ、3年ぶりに会えるって思ったらずっと興奮してて……」


言葉をひとつひとつ選ぶ。ちょっとまとまらないけど。
私は斗哉くんを見ながら話した。


「でも、お父さんがいなくなってから人を好きになるのが怖い。好きな人が消えたときの辛さを味わいたくない。そう思ってきたんだけど……最近、天文部のメンバーと一緒にいることが増えてきて、それが楽しくなってきた。みんなが大事になってきた」


こんなこと、恥ずかしくてみんなには言いたくないけど……


「たぶん斗哉くんに感じる気持ちも同じだと思う。私もね、斗哉くんのこと好きだよ!これからも、私のお兄ちゃんでいてほしいな」


斗哉くんはしばらく黙っていた。
そして、息をはいて笑顔になった。


「ありがと、杏奈。俺は今までもこれからも、杏奈と斗真のお兄ちゃんだよ」


そういうと、ベンチから立ち上がった。つられて立ち上がろうとした私を制止して、ある一点に向かって叫んだ。


「さ、告白タイムも終わったし、そろそろ出てこいよ!ストーカーさん?」


え?ストーカー?
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